認知症の親が行方不明になったとき
編集部確認

親の姿が、見えない。
さっきまで、そこにいたのに。
そのとき、頭の中が真っ白になります。
先に、二つだけお伝えします。
これは、目を離したからではありません。
そして、迷ったら、警察に連絡してよいのです。
順に。ひとつずつ。
「目を離したから」ではありません
自分を責める気持ちが、先に来ることがあります。
少し目を離しただけなのに、と。
でも、これは、だれかの落ち度で起きることではありません。
認知症で家族の行方が分からなくなる。
それは、多くの家庭が通ってきた出来事です。
警察に届けられた認知症の行方不明は、令和7年の1年間で1万7,345人でした。
警察庁が毎年まとめている統計の数字です。
めずらしいことでは、ありません。
だから、まず、自分を責めなくて大丈夫です。
いま落ち着いてできることを、順に並べます。
順に。ひとつずつ。
まず、警察に連絡してよいのです
家のまわりを探しても、見あたらない。
そのときは、警察に連絡してよいのです。
ためらう気持ちが、わくかもしれません。
事件でも事故でもないのに、と。
けれど、警察には「行方不明者届」という届があります。
国の規則は、行方不明者をこう定めています。
「生活の本拠を離れ、その行方が明らかでない者」。
事件であることは、届の条件になっていません。
だれが届を出せるのかも、規則に書かれています。
親権を行う人や後見人、配偶者やその他の親族、いま介護している人などです。
家族は、届を出せる人に、はっきり含まれています。
急を要するときは、110番があります。
そうでないときも、最寄りの警察署や交番で相談できます。
制度や運用は変わることがあります。各窓口でお確かめください。
順に。ひとつずつ。
市には、探すための仕組みがあります
多くの市区町村に、行方が分からなくなったときの仕組みがあります。
呼び名はさまざまですが、大きく三つに分けられます。
ひとつめは、SOSネットワークと呼ばれる仕組みです。
市から協力機関へ特徴などが伝わり、地域ぐるみで居場所を探します。
ふたつめは、事前登録です。
行方不明になるおそれのある方の情報を、前もって市に登録しておく仕組みです。
登録しておくと、いざというときの連絡がはやくなります。
みっつめは、見守りシールです。
二次元コード(QRコード)の付いたシールを、衣類や持ち物に貼っておきます。
見つけた人が読み取ると、名前を明かさずに家族へ連絡がつく仕組みです。
これらは、市によって、あったりなかったりします。
名前も、中身も、市ごとに違います。
お住まいの市の仕組みは、市の窓口や、おやしるべの市ごとのページで確かめられます。
制度や運用は変わることがあります。各窓口でお確かめください。
順に。ひとつずつ。
GPSという備えもあります
居場所を探すための機器に、GPS端末があります。
持ち物や靴などに付けておくと、あとで居場所を確かめられる機器です。
この費用を、助成したり、貸し出したりする市があります。
かかるお金は、市によって違います。
ほとんど負担のない市もあれば、毎月の利用料がかかる市もあります。
おやしるべでは、市ごとの費用を調べて並べています。
自分の市はどうか、認知症高齢者の位置探索サービスの助成(市区町村データ)で確かめられます。
どの機器を選ぶか、どの会社のものにするかは、この記事では触れません。
費用も仕組みも市によって違うため、市の窓口でも確かめられます。
制度や運用は変わることがあります。各窓口でお確かめください。
順に。ひとつずつ。
見つかったあとに、備えられること
無事に見つかったあと。
ほっとしたあとで、同じことがまた起きないか、心配になることがあります。
そのときに、備えられることがあります。
さきほどの事前登録や見守りシールは、落ち着いてから申し込んでおくこともできます。
次に行方が分からなくなったとき、連絡がはやくなります。
もうひとつ、相談できる窓口があります。
地域包括支援センターです。
地域の高齢者の総合相談を行う窓口で、市町村が設けています。
介護のことも、見守りのことも、ここでまとめて相談できます。
窓口では、こう聞けます。
- 「認知症で、外に出て戻れなくなることがあります。備えられる仕組みはありますか」
- 「事前登録や、見守りのサービスについて教えてください」
一度に全部は、整えなくて大丈夫です。
制度や運用は変わることがあります。各窓口でお確かめください。
順に。ひとつずつ。
気持ちが持たない夜には
探しているあいだ。
見つかったあと。
どちらの時間も、心はすり減ります。
眠れない。
考えがまとまらない。
そんなときは、声をそっと預けられる場所があります。
暮らしや介護の相談は、地域包括支援センターでも受けつけています。
市町村が設けた、地域の高齢者の総合相談の窓口です。
夜は、いつか明けます。
今日は、ここまでで大丈夫です。
順に。ひとつずつ。
今日は、ここまでで十分です
親の姿が見えなくて、頭が真っ白になる。
その気持ちのまま、ここまで読んでくださいました。
できることを、もう一度だけ並べます。
迷ったら、警察に相談してよいこと。
市には、探すための仕組みがあること。
見つかったあとに、備えておけること。
今日は、それで十分です。
落ち着いてからでよいことは、こちらにあります。
- 認知症高齢者の位置探索サービスの助成(市区町村データ) — 自分の市のGPS・位置探索サービスの費用を確かめられます。
- 親が倒れたら最初の30日 — 介護がはじまったとき、確かめる順番の地図です。
先のことは、そのときに読めば間に合います。
今日は、ひとつで十分です。
順に。ひとつずつ。
出典と参照日
- 令和7年における行方不明者届受理等の状況(警察庁生活安全局人身安全・少年課・令和8年6月)(参照日 2026-07-24)
- 行方不明者発見活動に関する規則(平成二十一年国家公安委員会規則第十三号)・e-Gov法令検索(参照日 2026-07-24)
- 共生社会の実現を推進するための認知症基本法(令和五年法律第六十五号)・e-Gov法令検索(参照日 2026-07-24)
- 認知症施策推進基本計画の概要(厚生労働省)(参照日 2026-07-24)
- 行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ(厚生労働省)(参照日 2026-07-24)
- 認知症高齢者等SOSネットワーク(横浜市)(参照日 2026-07-24)
- 認知症のご家族が行方不明になってしまったら(つくば市)(参照日 2026-07-24)
- 熊本市認知症高齢者等見守りSOSネットワーク事業(熊本市)(参照日 2026-07-24)
- 地域包括支援センター(厚生労働省・地域包括ケアシステム)(参照日 2026-07-24)
- 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)・e-Gov法令検索(参照日 2026-07-24)
制度は変わることがあります。各窓口でお確かめください。