葬儀のお金が払えないとき

編集部確認

そろばんと領収書の束が置かれた机の版画風のイラスト

夜になると、お金のことばかり頭に浮かぶ。
そんな時間があります。
悲しみと支払いの心配が、同じ日に来るからです。
気持ちが追いつかないのは、自然なことです。

この記事は、お金の道筋を並べた地図です。
制度の名前と、相談できる窓口だけを書きました。
値切り方や、安くする手順は扱いません。
特定の葬儀社や宗派をすすめることも、しません。
まず、申請できる給付があることから始められます。
順に。ひとつずつ。

申請できる給付があります

亡くなった方が、国民健康保険か後期高齢者医療に加入していた。
そのときは、葬祭費という給付を申請できます。
葬祭を行った方に対して支給される給付です。
根拠は、国民健康保険法第58条と、高齢者の医療の確保に関する法律第86条です。

この給付には、大事な特徴があります。
額が、市区町村によって違うことです。
どちらの法律にも「条例の定めるところにより」と書かれています。
額は、市区町村や後期高齢者医療広域連合の条例で決まります。

おやしるべでは、150の市区の葬祭費を公式資料から確かめて載せています。
確かめられた額には、2万円から7万円までの幅がありました。
いちばん多いのは5万円です。
東京23区は、いずれも7万円でした。
西日本には、2万円台の市もあります。

お住まいの市の額は、掲載150市の一覧で確認できます。
一覧にない市の額は、市区町村の窓口でたずねられます。
なお、勤め先の健康保険に入っていた方の場合は、別の給付になります。
協会けんぽでは「埋葬料(費)」という名前です。
まずは、どの保険に入っていたかを確かめるところからです。
順に。ひとつずつ。

申請の基本

手続きの話は、3つに分けると見通しがよくなります。
誰が、どこへ、いつまでに。

誰が。 申請するのは、葬祭を行った方です。
喪主にあたる方、と案内している市区町村もあります。
横浜市は、国民健康保険でも後期高齢者医療でも、そのように案内しています。

どこへ。 窓口は、市区町村です。
後期高齢者医療の額は広域連合の条例で決まりますが、手続きの窓口は市区町村になります。
ひとつ、行き違いの多い点があります。
横浜市は「亡くなられた方がお住まいだった区」の窓口だと注意を促しています。
申請する方の住所地とは限らない、ということです。

いつまでに。 保険給付を受ける権利は、2年で時効になります。
国民健康保険法第110条と、高齢者の医療の確保に関する法律第160条の定めです。
数え始める日の案内は、市区町村の資料で確かめられます。
横浜市は「葬祭を行った日の翌日から2年」と説明しています。

必要なものは、市区町村によって異なります。
横浜市の例では、3つが挙げられています。
申請する方の本人確認書類、喪主が確認できる書類、振込先の口座がわかるものです。
喪主が確認できる書類とは、会葬礼状や葬儀の領収書などです。
領収書や会葬礼状は、あとで使うことがあります。
封筒にまとめて入れておくだけで十分です。

2年という期間があります。
今日、窓口へ行かなくても大丈夫です。
順に。ひとつずつ。

葬儀の形式には幅があります

葬儀の形には、いくつかの呼び方があります。
国民生活センターは2026年6月3日の公表資料で、こう書いています。
「葬儀の形態も変わりつつあり、家族葬、一日葬、直葬など、
さまざまな葬儀のニーズが高まっています」。

ただし、同じ資料は注意も呼びかけています。
表題は「「家族葬だから安い」と思っていませんか?」です。
呼び方だけで費用が決まるわけではない、という趣旨です。
葬儀サービスに関する相談は年間900件前後で、増加傾向にあります。
費用が想定を上回ったという「高価格・料金」の相談は、2025年度で52.6%でした。

おやしるべは、費用を下げる交渉のしかたは書きません。
かわりに、同センターが示した4つの案内を置いておきます。

電話は、消費者ホットライン「188(いやや!)」です。
お住まいの市町村や都道府県の消費生活センター等につながります。

見積書は、その場で全部を理解しなくてかまいません。
項目ごとに、ひとつずつたずねられます。
順に。ひとつずつ。

生活が苦しいときの制度

支払いのめどが立たない。
そう感じている方に向けた制度もあります。
生活保護には、葬祭扶助という種類があります。
根拠は、生活保護法第18条です。

厚生労働省は、葬祭費用に対応する扶助と位置づけています。
支給のしかたは「定められた範囲内で実費を支給」と説明されています。
支給されるかどうかや、その額は、この記事では判断できません。
窓口で確かめていただく事がらです。

相談と申請の窓口は、決まっています。
お住まいの地域を所管する福祉事務所の、生活保護担当です。
福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設けています。
福祉事務所のない町村にお住まいの場合は、町村役場でも申請の手続きができます。

暮らし全体が苦しいと感じるときは、別の入り口もあります。
生活困窮者自立支援制度の、自立相談支援の窓口です。
家計の立て直しを一緒に考える支援も含まれています。

制度の名前を知っているだけで、次の一歩が短くなります。
順に。ひとつずつ。

お寺への謝礼について

お布施のことは、誰にも聞きにくいものです。
金額の決まりが見えないからです。

国税庁は、相続税の説明のなかで、寺院などへの読経料などを「お礼」と書いています。
対価ではなく、お礼として渡すもの、という位置づけです。
金額の目安については、公的機関の一次情報に見あたりませんでした。
ですから、おやしるべでは額を示しません。
特定の宗教や宗派をすすめることも、しません。

わからないことは、たずねてよいことです。
お付き合いのある寺院や、依頼する宗教者に相談できます。
切り出し方に迷うときは、こんな言い方もあります。

答えは、たずねてみないとわかりません。
順に。ひとつずつ。

ひとりで抱えないで

お金の話は、家族のあいだでも切り出しにくいものです。
それでも、話せる相手はいます。
出てきた窓口を、もう一度並べます。

高齢の家族のことで気がかりが残るときは、地域包括支援センターがあります。
市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員などを配置した相談窓口です。
担当のセンターは、お住まいの住所によって決まります。

眠れない夜が続くときには、話を聞く窓口があります。

#いのちSOS 0120-061-338(24時間365日)

よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応)

今日できることは、ひとつで足ります。
順に。ひとつずつ。

この記事で書かなかったこと

出典と参照日

  1. 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)/厚生労働省法令等データベース(参照日 2026-07-22)
  2. 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)/厚生労働省法令等データベース(参照日 2026-07-22)
  3. 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)/厚生労働省法令等データベース(参照日 2026-07-22)
  4. 葬祭費の支給【74歳以下で横浜市国民健康保険にご加入の方】(横浜市公式・最終更新2024年12月27日)(参照日 2026-07-22)
  5. 葬祭費の支給(横浜市公式・後期高齢者医療・最終更新2025年9月17日)(参照日 2026-07-22)
  6. おやしるべ 葬祭費データ(掲載150市一覧)(参照日 2026-07-22)
  7. 埋葬料・埋葬費(全国健康保険協会)(参照日 2026-07-22)
  8. 依然として多い葬儀サービスの料金トラブル−「家族葬だから安い」と思っていませんか?−(国民生活センター・2026年6月3日公表)(参照日 2026-07-22)
  9. 生活保護法(昭和25年法律第144号)/厚生労働省法令等データベース(参照日 2026-07-22)
  10. 生活保護制度(厚生労働省)(参照日 2026-07-22)
  11. 生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)(参照日 2026-07-22)
  12. No.4129 相続財産から控除できる葬式費用(国税庁・令和7年4月1日現在法令等)(参照日 2026-07-22)
  13. 公表されている生活関連情報について(介護サービス情報公表システム・厚生労働省)(参照日 2026-07-22)
  14. 電話相談窓口(まもろうよ こころ・厚生労働省)(参照日 2026-07-22)

制度は変わることがあります。各窓口で最新をお確かめください。